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婦人科内視鏡治療~戸川利郎

 初経年齢の早まりや晩婚化といった女性のライフスタイルの変化に伴い、婦人科内視鏡治療の対象となる病気は増加傾向にある。治療の特徴などを専門の産婦人科医に聞いた。(戸川利郎)

 --子宮筋腫と子宮内膜症について教えてください。

 いずれも20~40歳代に多く、不妊の原因になります。子宮筋腫は子宮筋層にできる良性腫瘍で、「月経量が多い」「強い月経痛がある」などが主な症状です。子宮内膜症は、卵巣や腹膜などに子宮内膜ができる病気で、月経時の激痛に苦しむ人が多く、非常にまれですが、悪性化することもあります。

 --腹腔(ふくくう)鏡手術と子宮鏡手術の特徴は。

 腹腔鏡手術は、開腹手術より少し時間がかかることが多いのですが、術後の回復は早く、手術の傷の小ささなどメリットが勝るように思います。子宮鏡手術は、子宮の内側にできた筋腫やポリープが対象です。小さい筋腫でも月経時に大出血を起こしますが、こうしたケースに非常に有効で、1時間程度で手術できます。

 --がん治療で、内視鏡はどう活用されますか。

 他のがん同様、子宮がんも高齢になると増えます。腹腔鏡手術は、主に早期の子宮体がんに対し、子宮全摘をする際に行われます。体力を奪う開腹手術は高齢女性には負担が大きいので、腹腔鏡手術ができればメリットは大きいです。ロボット支援手術も選択肢になります。

 --日本生命病院の特色は。

 婦人科の良性疾患を中心に腹腔鏡手術をいち早く導入し、症例を重ねてきました。腹腔鏡の技術認定医が7人いるのが強みで、ほかの医療機関から、手術目的で患者さんを紹介されるケースが多いです。婦人科腫瘍専門医がおり、がん治療にも力を入れています。

 --受診のポイントは。

 腹腔鏡手術は、技術習得のため一定の症例数を経験する必要があります。病院を選ぶ際は手術件数のほか、技術認定医の有無や人数を確認するといいでしょう。例えば子宮内膜症は、早めのホルモン剤治療で手術を避けられ、妊娠へのハードルも下げられます。女性は、自分を後回しにしがちです。婦人科のかかりつけ医を持ち、気軽に受診できる環境が整えば理想的ですね。

 ◆技術認定医 一定の経験

 今回は、婦人科内視鏡治療を取り上げた。調査の対象は、日本産科婦人科内視鏡学会の技術認定医がいる医療機関などだ。

 内視鏡は、先端に小型カメラがついた器具で、婦人科領域ではいくつかのタイプがある。調査は、おなかに小さな穴を開けて入れる腹腔鏡と、膣(ちつ)から入れる子宮鏡による手術を対象とした。いずれも、開腹手術と比べ、体への負担が少なく、術後の回復が早い。大きな傷も残らない。

 一方、安全に行うには、確かな技術を持った医師が必要だ。同学会の技術認定医は、一定の手術経験を積んだ医師が、手術の動画を提出して審査を受けた上で認められる。

 これまで、婦人科で内視鏡による手術を受けていたのは、主に良性の病気の患者だった。子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫(のうしゅ)などで、月経痛や過多月経、貧血などのつらい症状の緩和のほか、不妊治療としても行われてきた。

 近年、悪性腫瘍(がん)にも広がっている。14年には子宮体がん、18年には子宮頸(けい)がんの腹腔鏡手術が公的医療保険の適用となった。ともに早期の患者が対象で、がん診療に習熟した医師がいる医療機関で行われている。(大畑亮介











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