医療制度改革の山場とも言える平成20年度には、従来の老人保健制度を廃止し、75歳以上を対象とした高齢者医療制度が創設されます。
独立した高齢者医療制度を創設することについては、対象年齢の問題とともに、誰が制度運営を担うのかが政治的にも大問題となります。
結局、都道府県を単位とする全市町村参加の特別地方公共団体として「後期高齢者医療広域連合」という行政組織が運営を担うことになりました。
制度の発足に向けて広域連合議会や事務局の設置が行われ、準備がはじまっていますが、実際の運営面では、運営の窓口になる市町村と広域連合とで役割分担や連携が円滑に進むのかなどの不安もあり、都道府県の役割や最終的な財政責任の問題などの課題も残されています。
地方自治体では、市町村だけでなく都道府県でも財政状態は厳しく、国民健康保険や介護保険制度の運営を担うことも厳しいと言われています。
そうした中で発足する新たな高齢者医療制度が、老人保健制度の苦難の歴史を繰り返すことなく、将来とも安定した運営が確保されるのかどうかが、今回の医療制度改革の成否や医療制度の将来の持続性の根幹に関わる問題であると考えています。